【理容室:HiroyukiShishido BarbershopFukunokami】宍戸 博之さん

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宍戸さん

今回、話を伺ったのは、HiroyukiShishido BarbershopFukunokamiのオーナー、宍戸 博之さん。

震災後、本塩釜駅前にオープンした理容店といえば「あのお店!」と思い出す方も多いと思います。

沢山のお客さんから親しまれていたお店が、突然のリニューアル。

価格破壊、しかも昨今の時流とは真逆の「1万円」という値段設定。

美容院ならパーマ、カラーリングも含めてその値段になることもありますが、理容店で1万円。

サービスの中身も気になりますが、このビジネスモデルを確立した宍戸さんの思惑とは?

 

 

―宍戸さんの経歴を教えて頂けますか?

宮城県南部の角田市が出身です。

地元の高校を卒業して、大学受験に失敗しまして…

それでこの道に進みました。

就職したのが、70店舗くらいもっている大きな会社で、最初は仙台で働くと思っていたのが

「塩釜に来ればすぐに店長になるよ」

というので、塩釜に来たのが21歳の頃。

近い、と言われ、がんばってスクーターで通勤してました(笑)。

2年くらいしたら、突然、店長が退職しまして。

店長になりたいとは思ってたけど、自分としては技術や経験を積み重ねてステップアップしたかったのですが…

宍戸さん

実際に弊誌スタッフの髪を切ってもらいながらインタビュー

 

―否応なく?

はい、やらざるを得ない状況でした。

チェーン店ですから、上からはいろいろ指令が飛んでくるし、下からは突き上げられるし。

現場は大変でした。

 

―心、折れそうですね(笑)?

店長が辞めた時も、結構、ネガティブになったんですよ。

個人の事情があったからしょうがないんですけど、慕ってましたから「裏切られた」という気持ちが大きくて。

ただ、自分はいずれ、独立するんだ、この逆境も経験だ!と思って耐え抜きました。

そして、何というか、うまいんですよね…

ちょっとずつ、待遇が良くしてもらったりとか。

そうすると「じゃあ、もう少し頑張ろうか」という気にもなりますし(笑)。

何だかんだいって、10年くらいやりました。

店内は高級感があふれるデザイン

 

―そこで、独立したんですか?

いえ。

実は別のお店に転職することになっていまして。

いよいよ移籍、という段階で東日本大震災がきて、その話もなくなりました。

 

―この辺りもだいぶ津波でやられましたから、大変だったでしょう?

そうですね。

ただ、お客さんからは「はやく再開してくれ」という声も大きかったんですよ。

いろいろ考えていたところ、勤めていた会社から

「どうせ独立を考えていたんだから、ここでやったら」

と後押しされて、お店を開くことが出来ました。

震災から2か月後の5月に契約、7月にオープンできたので、早かったと思います。

宍戸さん2

照明もオシャレ

 

―その頃は、普通のお店だったんですよね?

ええ、いわゆる2000円台の価格帯でカットする、リーズナブルなスタイルですね。

お陰さまでお客様もたくさん来てくれました。

 

―でも「1万円のお店」に変えちゃったんですね。

いまも、駅の向こう側では従来通りのお店を営業しています。

ただ、6人スタッフがいて、それでも、お客様をこなさないと…こなす、というイメージなんですよ。

土日は朝からお客様がたくさんいらっしゃって、カットしている間にも、待っているお客さんが椅子に並んでいて…

お客様を待たせているプレッシャーもありますし、いまのお客様よりも、次のお客様を気にしなければならない、という…

スタッフもこのままだと疲弊してしまいますし、これを変えられないか、という思いが強かったんですよ。

うまく言えませんが、スタッフを第一に考えることで、お客様にもいいサービスを提供できる、と思うんですよね。

美容師はメディアでたくさん取り上げられ、カリスマ、なんて持ちあげられてますが、一方の理容師は「ダサイ」「カッコ悪い」というイメージですからね。

確かに、顔そりの技術は難しいから、やる方も大変なんですよ。

その割に、あまり待遇も良くない。

そういう業界の体質を是正したい、もうかる仕組みにしたい、ということで1万円のサービスをつくる!という前提から始まったんです。

なので、お客さんが1万円を払っても納得できるサービスとは何だろう?と。

 

―なるほど、価格の設定から始めた、というところが斬新ですね。

でも、ビジネスの考え方としては、ものすごくいいですね。

店構えも、デザイナーの方にこだわって作ってもらいました。

本当は全部個室にしたかったのですが、消防法の関係もあるので、完全個室ではないですけど。

宍戸さん4

 

―いや、でも相当高級感がありますね。これが「とこや」だ、と言われたら驚きます。実際、お店をオープンさせるにあたって、お客さんの反応はどうでした?

やっぱり、みなさん「塩釜で?」と驚かれました(笑)。

手っ取り早くいえば、非常に否定されました。

実際、売上もだんだん下降していって、お客さんがゼロ、という日もありました。

自分がいままでこの仕事をやってきて「ゼロ」ということはなかったんですよ。

結構、危機感があったのですが「しかし行けるはずだ!」と踏ん張りました。

 

―実際、このサービスは、既存のサービスとは、どのように違うんですか?

まず、髪を切りに来て頂くというよりも、どういう自分になりたいか、というアプローチから始めます。

ですので、一番最初に来て頂いた時は、カウンセリングで15分~20分、いろいろとお話を聞きます。

薄毛、育毛など髪の悩みを持たれている方には、どうやったら、よいコンディションを保てるか、ですね。

 

―自分も含め、中高年男性には切実な悩みですからね(笑)。

私は医者、治療院じゃないので、失われた髪を生やすことはできません。

でも、いま、生えている髪をどうやったら健康に維持できるのか、薄くなった頭髪でもどうやったら、カッコよく見せられるのか、どんなファッションにしたらいいのか、など、いろいろ提案はできます。

宍戸さん5

 

―それで変わった方もいるんですか?

はい、頭皮は農作物でいえば、土壌ですからね。

作物もいくらよい種や苗を植えても、土がよくなかったら、丈夫に育ちません。

そういうところを変えていけば、健康な髪を維持できます。

 

―これから、理容、美容の道に進みたい、もしくは仕事で悩んでいる人に宍戸さんからアドバイスを頂きたいのですが…

そうですね。

自分の価値観に向き合い、自分の価値観に嘘をつかない、ということでしょうかね。

実は、自分もいろいろ迷いながら、副業をやってみたことがあったんですよ。

ところが、副業はやりたいものとは違っていて、自分の知らないうちにストレスになっていったんですよ。

大きな失敗もしましたけど、何よりも楽しくなかった。

自分の価値観によそ見をした自分を妻や子供たちの存在が支えてくれましたけど、それがなかったら、大変でした。

理容室では類を見ないすべての席が個室という環境

 

 

今回は特別に来店客の了承を得て、宍戸さんが実際に仕事をしている様子を見せて頂くことができた。

シェービングやマッサージ、ヘッドスパなど、高いクオリティのサービスを受けられる。

その時間、およそ2時間弱。

自分への御褒美として支払う対価としては、それほど大きな金額ではないだろう。

さらに宍戸さんは、こう強調する。

「髪を切るため、髪を切って髭を剃ることに1万円を払って頂くのではありません。

なりたい自分になるため、自己実現のため、トータルコーディネートするための対価なのです」

いまの自分に満足していない、でもどうしたらいいのか分からない、という方は、一度行ってみてはいかがだろうか。

 

(執筆: 竹田)

ひと:宍戸 博之さん
しごと:HiroyukiShishido BarbershopFukunokami(理容室)
ところ:〒985-0021 宮城県塩竈市尾島町1−10
サイト:ホームページFacebookページブログ

 

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鈴木貴之編集長

投稿者プロフィール

「仙塩ひと・しごと図鑑」の編集長。

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